いきなりss入りまーす

桜もそろそろ咲き始め、花見にでも出かけようかと窓の外を眺めていた時

どこからか並中の校歌が流れて来た

僕のケータイだ

画面にはあの人の名前

また下らない用事だろうと思いながらも

なんとなく電話に出てみる

「…なに」

勝手知ったる相手
いつものように無愛想に電話に出たけど

電話の向こうからはいつもと違う空気が感じられた

『恭弥…良かった…出てくれたんだな』

切羽詰まった声が聞こえた

「何かあったの？」

『へへ…ちょっとヘマしちまってな…』

苦しそうな息遣い

一体何が…

『オレ…もうダメだ…最後にお前の声聞けて…良かった…』

最後って…何言って……

「そんなにひどいの？あなた…今どこにいるの？」

『ん…？イタ…リアの本部だぜ…本当なら…会いたかった…んだけどな』
「分かった」

電話を切って

思考をめぐらせる

イタリア…


イタリアまでいくらかかるんだろう

何時間かかるんだろう

許さない

僕が行くまでに死んだら許さない

許さないから…


自分でもわけが分からなくなるくらいに焦っていた

考えてる暇はない

あのひとに作らされたパスポートと財布だけ掴んで

家を出ようとした瞬間


玄関の呼鈴が鳴る


こんな時に…


新聞屋や集金なら咬み殺してやる


勢いよくドアを開けて

僕は目を疑った

「よっ！恭弥」

そこには今イタリアにいるハズのディーノが

いつも以上にヘラヘラして立っていた

「…なんで…」

少し呆然としてしまったが

そこで気がついた


「嬉しいな～恭弥…イタリアまで来てくれるつもりだったのか？」

僕の手に握られたパスポートを見つけた彼の子供のような笑顔

騙された悔しさより

その笑顔がまた見られた事の安堵の方が大きかったなんて

絶対教えてらやない

「っ……咬み殺すッ…！！！」

本気で心配したのに…吐くならもうちょっとマシな嘘にしなよこのバカ馬！！

「わっ…ちょっ…ゴメン！ゴメン恭弥ー！！！」


そんな

４月１日の出来事


～・＊・～・＊・～～・＊・～・＊・～

突然のエイプリルフールネタでした

しょうもなくてゴメンなさい…